2018年度心血管エコー検査アンケート調査報告

 

アンケート調査の概要

 

熊本県医師会ホームページに公開されている医療機関の内、循環器内科もしくは循環器科を標榜されている366施設にアンケ-ト表を配布。

259施設[全71% (病院 89%、診療所 62%)]から回答あり。72施設は心血管エコー検査は未施行。

このため187施設(病院88施設、診療所99施設)の熊本県心血管エコー検査施設における解析となった。


熊本県における心エコー検査数は経時的に増えている。

なお、2016年に若干心エコー検査数が減少しているが、熊本地震の影響と考えられる。

熊本・上益城における心エコー検査数/人口100人は突出して多い。

しかしながら阿蘇・菊池をなど、熊本県北部における心エコー検査数は極端に少ない。

アンケートの追加報告です。

心エコー検査を施行している医療機関とその施行数をグラフにしました。各施設間で非常な差があることが分かります。

また驚くべきことに主に心エコー検査を施行する職種が医師である医療機関と技師である医療機関の数に差はありませんでした。しかしながら施行している心エコー検査数は圧倒的に技師が多いという結果となりました。

この結果は多くの心エコー検査を施行している医療機関は主に技師が心エコー検査を施行しており、心エコー検査の施行数の少ない医療機関は主に医師が心エコー検査を施行していることを反映していると考えられました。



アンケートの追加解析です。Circulation Reportsにacceptになった論文を一部修正して掲載しております。

ガイドラインに準じた心臓超音波検査の施行に最も関係する因子は超音波専門医となっており、超音波検査に精通した医師が必要であることが分かります。



下肢静脈エコーに関しての検討

上記検討は心エコーに関する検討でしたが、下肢静脈エコー検査に関する検討も行っておりますので少しずつではありますが報告させていただきます。


心エコー、下肢静脈エコー共に増加傾向ですが、2016年の熊本地震の際に、心エコー検査件数が減少しているのに反して下肢静脈エコー検査件数は増加しております。これは避難所生活や車中泊などにより肺塞栓症(エコノミークラス症候群)が多数発生しそれを予防しようとしてKEEP projectなどにより大規模な広報が行われた結果と考えられます。


熊本県では心エコー検査に比べて下肢静脈エコー検査が施行可能な医療機関が少ないことが明らかとなりました。


また心エコー検査に比べて下肢静脈エコー検査が可能な臨床検査技師・放射線技師・医師の数が少ないことも問題です。


また下肢静脈エコー検査は地域により施行件数が大きく異なることも分かりました。


下肢静脈エコーに関する解析はまだまだ不十分ですが、解析がすみ次第、順次upさせていただきます。